澱の底

花札のゲーム機がテーブル代わりの喫茶店。
来店するたびにいつも一昔前のポピュラーミュージックが流れている。親が聞いていたような。流れて来る音楽を誰が歌ってるかはほとんど知らないんだけど、知ってるのは松任谷由実くらいで、たぶんニューミュージックって枠でくくれるような音楽。

店員は50代くらいだろうか、女性で、なんとなく水商売の遍歴がありそうな雰囲気が漂ってくる。髪はバサバサで典型的なおばさん体型をしているのだけれども、化粧と佇まいから昔は美人の部類に入ってたのだろうなと感じる。スピーカーから流れる歌を口ずさんでいる。
青春時代に固執してるのかもしれない。こういう、発展の見込みのない、気だるくて澱の底のような雰囲気は嫌いじゃないけど、そう考えると少しゾッとする。

俺の時代は、どう語られるのだろうかと考える。
同時代性とかにはてんで興味を示してこなかったけれども、今が永遠ではないことをこうやって見せつけられると、卑しく執着してしまう。