三年目。
今住んでるところに住み始めてからの年数。

全く変な街で変質者が多い。道を歩いていると容貌がフィリピンライクなお兄ちゃん(おじさん?おじ兄さん)がこっちをガン見してくるので思わず何かなと思って見返すと当然のごとく目が合い「どこ高校?」と聞かれるような街だ。
「○○高校です」と答えると「ほーん」とリアクションをとったあと二秒くらいしてから「靴何センチ?」と聞いて来た。全く意味がわからない。
「27.5センチですぅぅ〜」と軽く鳥肌をたてながら逃げるようにしてその場を立ち去った。

近所に住む友人にその話をしたらそいつも同じ奴に特攻されたことがあるらしく、「高校はラ・サールって答えといた」と言っていた。
そしたら例の男は「あぁー、鹿児島のね」と返して来たそうだ。進学校のことなんて知らなさそうな風貌だったので予想外の返事だった。

話しかけられることはその後無かったが、男はしょっちゅう見かけて、いつも特攻する相手を見定めている様子だった。

こないだそこそこ大規模なマラソンの大会があったのだが、そこの会場にも出没していた。
カラフルなジョギングウェアやコスプレをした走り終えたランナーが多くいる中で、ボロいジーンズと黒っぽい上着の例の男がいつもの様子でニヤニヤしながらウロウロしてたのを見て、お前なんでここに居るんだと思わず俺もニヤニヤしてしまった。


繁華街なので酒がらみのトラブルも多い。
いい年したおっさんが道端で寝ているのはザラで、不憫だしサイフでも盗られたら可哀想だと思って起こそうとするが、道で寝る様なおっさんはたいてい死んだ様に起きない。本当に死んでるみたいにリアクションがないのだ。今までおっさんを起こそうとして成功したことはゼロだ。
実家に帰った時に母にその話をしたら「面倒に巻き込まれたら厄介だから関わらないでおきなさい」と言われて、俺も道で寝る様な人はそもそもおれがちょっとやそっとどうにかしようとしたところで起きないのをなんとなく理解していたので、それからは道端におっさんが寝ていても通り過ぎる様になった。
女の人が寝て居るのはまだ見たことない。さすがにその時は起こすと思うが。


土地柄キャッチのお兄さんがちらほら居て、こないだ60くらいのお爺さん(酔ってる)とキャッチが一悶着してた。なんか千円札で揉めてた。

爺「せんえんさつかえせぇぇぇ」
キ「わかったわかったよ、、、、ホラ」

とお爺さんに千円を渡したのですが

爺「こんなもんはなぁぁぁあ、こうだぁぁぁぁあ」

っつって千円札グシャグシャにして道に叩きつけてました。爺さんわけわからん。
俺は買い物に行く途中だったのでそのまんまスーパー行ってまた戻ってきたらお爺さんキャッチにボコボコにぶん殴られてた。
さすがに笑えないのでそんときはさすがに警察呼びました。


住んで二年目くらいまではここに住んだことをわりと後悔していたのですが。というかマジで適当に決めたんすよ。
初めての1人暮らしっつうことで初めて1人で不動産屋行って初めて自分で住む場所を決めたんですが、当時の俺は「経験者に相談する」という思考回路が存在しておらず一軒目に不動産屋の兄ちゃんと回った今のアパートをとりあえず見て、まぁ、ここでいいかとテキトーに決めた場所だったんですよね。

中高一貫でずっと寮暮らしで、寮に住んでた頃は夜中に寮から抜け出して「俺は自由だぜ〜」とか思ってたアホですが、いざ本当に寮則から自由になってみると目に飛び込んで来たのは変質者と酔客だったのです。ずっと寮に守られて生活してきた世間知らずのボンボンには割と衝撃的な風景だったよなぁと思います。


まぁでも住めば都ってのはよく言ったもんで今はこの街がそんなに嫌いでは無かったりします。
とあるキッカケでこの街の歴史に興味を持ったのですが、今でこそ風俗街と飲み屋と酔っ払いのゲロの臭いがする街だけど歴史的には割と面白い街だったりします。
どうも昔はお偉いさん御用達の遊郭の街として有名だったらしくて、その名残りなのかぁと。街の歴史を調べるのは面白いです。