独り/集団 行動のモノサシ


フリーター、家を買う。」作中冒頭で、宗教じみた社内研修に各々のやり方で適応、あるいは反抗する新入社員の様子が描かれる。3パターンあった。
1,会社の教条と完全に同一化し、モーレツ社員になる。
2,理不尽なやり方に反抗し、会社を辞める。
3,社内研修中は、会社のやり方に迎合する演技をし、あくまで仕事とプライベートは分けながら、仕事に楽しみを見出す。

1,2はコインの裏表のようなもんだと思う。どちらも会社や周囲の同僚からの評判や、会社の方針をモロに真正面から受け取っている。多分、自らの行動の指針として周りから下される評価が内面で大きく占めている。だから完全に同一化するか、真正面から反抗するかしかない。
3は、自分と周囲を分けて考えることが出来ている。周りからの評価は絶対的なものでは無い。それは、一人の時間の充実度というもう一つの評価で相対化(相対化であって、否定ではない)されている。だから、仕事は仕事として割り切り演技が出来る。作中では「器用」と表現されていたが、振る舞いの稚拙の問題というより、多分、自分の中に自分の為のモノサシがあるかの違いだろう。