"世界は、たとえようもなく豊穣なんだ"

実家。10畳ほどの広さの仏間兼寝室は、週二回、折り畳み式のテーブルが並べられ、小学生向けの学習塾に変わる。学習塾といっても、ゆるい。進学塾のようにみっちり教え込むことはない。子供達がそれぞれ学校の宿題を持って来て、各自でやる。わからない所が…

死への延長線(戦)

祖母に薬を飲ませる。祖母は眼が見えないので、私が薬を祖母の口まで運ぶ。粉末状の薬が全部で五袋。 一袋飲ませる度に、アルミの袋の端っこの硬くて薄い、剃刀のような部分が祖母の小さな口の端に当たる。お年寄りの、しかも口の端というとりわけ皮膚の薄い…

独り/集団 行動のモノサシ

「フリーター、家を買う。」作中冒頭で、宗教じみた社内研修に各々のやり方で適応、あるいは反抗する新入社員の様子が描かれる。3パターンあった。1,会社の教条と完全に同一化し、モーレツ社員になる。2,理不尽なやり方に反抗し、会社を辞める。3,社内研修中…

気が狂う程 まともな 日常

血圧が高くて押し付けがましいポジティブさを持ち、やたら好戦的な人間が嫌いだ。私は、どこにでもいる凡夫だ。そんなポジティブさなんていらない。ポジティブ思考で自分を変える!!(≧∇≦)☆とかさ。いいよ、そういう、なんか、気持ちだけ空回りしてる、アレ…

厭世

そもそも発展の果てに何があるってんだ。勝手に戦ってろ。糞が。そりゃ生きてくのに金が必要なのは否定しねーよ。でも国だの個人だのなんだのの発展が人生の目的っておかしいだろ。勝手に血圧高めで崇高な理念を喋ってろ。一生。何が、血反吐吐くまでやれ、…

生と死

どこで誰から聞いたか忘れたが、人が成長するためには一回死ぬ必要があるらしい。一回死んで、生き返る。バヌアツでは成人の儀礼としてバンジージャンプが行われる。疑似的な死を体験するためらしい。実際死ぬ時もあるけど。隠れん坊は、社会的な死と再生の…

自分で作った飯は旨い

すげー久しぶりに自炊した。一ヶ月くらいぶり。鳥もも肉とナス、レンコン、キャベツ、チーズをホールトマト缶で煮込んで塩コンソメで味付けしただけのカンタンな奴だったんだけど、ここ最近のコンビニの飯に比べたら、もう、、、、、旨過ぎて食いおわったあ…

娑婆

娑婆っていうのは訳がわからない。不意に、全く意図していない時に悪意を向けられ、正論を振りかざされ、たまに悪者にされる。そんな時は、自分以外の人間が滅びればいいとか思う。インフラだけ残して。明るく、前向きなものがいつでも正義だ。道に落ちてる…

冬と朝と雨

朝から雨が降っている。パラパラと、心地良い雨だ。雨で塵が洗い流された空気は清々しく、少し冷たいのが心地良い。ベランダで佇み、目の前を横切っている道路をはしる車や道行く人なんかをなんとなく見ていた。一人の男が視界の左端から現れた。黒いスーツ…

序列化し、飼い馴らす暴力装置

それは日常の中に潜んでいる。我々を序列化し、競争することを煽る。怒号と狂気の中で我々は正常な思考を失い、共食いを始める。静かで、豊かな独りの時間を侵食する。侵食されていることさえも、気づかせない。静かだ。独りは、良い。

義務ではない人生

空き缶の散乱した部屋。二週間は放置してあるコンビニ弁当の空き容器からは微かに匂いが漂っている。布団はもう二ヶ月は干していない。枕からは生臭い匂いがする。カミュの、シーシュポスの神話の話が、頭によぎった。神の怒りをかったシーシュポスは、巨大…

自意識の肥大化

人を動かす為に、意図的にその人の自意識を肥大化させる装置ってのがあると思う。こんときの自意識ってのは、異性や集団内の仲間からの承認への渇望とか、思春期にかかるアレ。出世競争とか、受験戦争だとか。序列化することで競争意識を煽る。その人の承認…

「正義」が怖い

特攻隊員を賞賛する人がいた。自己犠牲精神は、美しいものだと賞賛されることが多い。それ自体は、構わない。誰が何を美しいと思おうが、私は困らない。ただ、自己を犠牲にして、集団に尽くさない奴はクソだという同調圧力が形成されると、私は困る。美しか…

布団、湿気、甘い香り

三合目からスイッチが入った。ほとんど意志が効かず、泣き出した。起きると夕方。一日中布団に寝転びスマホでネットサーフィン。安直な快楽は捨てて、歩くのも悪くないなと思い始めた。歩いて行くなかで、目ん玉かっ開いてこの世界を見つめ、記し、死んで行…

繁華街、お水、キャッチ、

近所の繁華街 ギラついた光で何かを隠そうとするかのように過剰なまでの裸電球で看板を飾り付け自らの空元気を道行く人に押し付ける店や、まるで世界は自分達を中心として回っているといわんばかりの酔客団体に店の前を占拠された店。 自分の頭で考えない奴…

中華料理屋

真っ赤な暖簾をくぐりガラス扉を左へスライドさせ冷房の効いた店内へと身体を侵入させながらそのままの流れで左に置いてある新聞を右手でとり、左手で扉を閉める。カウンターの向こうに見える銀色の厨房には男が2人、中間料理屋らしい赤色で統一されたカウン…

曇り、カーテン

目が覚める。カーテン越しに部屋に入ってくる日の光が思っていたより少ない。部屋は薄暗い。携帯を見る。16:44。次の瞬間、頭の中で睡眠時間が計算される。弾き出された数値が後悔と惨めさを連れてきた。数秒経つと言い訳が頭の中に響いた。心臓が激しく動き…

いきるのめんどうくさい

すべてがめんどうくさいうごきたくないいきしたくないごはんたべたくないはたらきたくないかじしたくないありとあらゆるしんぱいごとがわたしをくるしめるそのようなものはかんがえたくないみたくないそのようなもののためにうごきたくないしょせんさきのし…